新しく

小説風の文章をSTORYのコンテンツの中で書いていこうと思います。
お時間があればお読みください。
とりあえず初回は、こちらのブログにも載せます。

「ニューオリンズ・バウンド」
私がニューオリンズに到着したのは22時を過ぎた頃だった。
見知らぬ土地への到着が夜の場合、何だかその街の別の顔を見せられているようで、心細くも不気味だ。空港からは、日本で予約していた「カプリ・モーテル」まで、タクシ―で行く事にした。私にとっては初めての土地で、夜も遅かったからだ。

タクシーに揺られてしばらくすると、ニューオリンズで一番の盛り場である、バーボン・ストリートが見えてきた。通りのあちらこちらから大音量のライヴ・ミュージックが聞こえてくる。
日本ではほとんどないことだが、バーボン・ストリートでは、狭いエリアにライブ・ハウスやライヴ・バーなどが密集している。そして、ドアをわざと開け放って、ライヴ・ミュージックの音を客引きに利用しているようだ。良い音楽が聞こえてくる店には、通行人が吸い込まれるように入って行く。「あぁ、本当にニューオリンズに来たんだ」という実感がじわじわと湧いてきた。
タクシー・ドライバーは親切心からか、せわしなく話しかけてくる。しかし、私は英語が良く分からない上に、通りの音楽や喧騒でほとんど聞き取れない。そうこうしているうちに、車はバーボン・ストリートを抜け、予約していたカプリ・モーテルに着いた。小さな安モーテルだ。

私は、単に安価だという理由からこのモーテルを予約したのだが、意外にも2階の程良い広さの部屋に案内された。
部屋には、ベッドとテレビ、ユニット・バスがあり、長期滞在の貧乏旅を考えていた私にとってはそれで充分に思われた。日本からのフライトの時差ボケと、さっき見たバーボン・ストリートの興奮で、なかなかベッドに入っても寝付けなかったが、これからの期待感を空想しているうちに眠りについた。